メディアとは何か?を問いかけるクリント・イーストウッドの凄さ

映画「リチャード・ジュエル」(2019年)

■製作年:2019年
■監督:クリント・イーストウッド
■出演:ポール・ウォルター・ハウザー、サム・ロックウェル、キャシー・ベイツ、他

恐るべしクリント・イーストウッドなのである。彼こそは映画の神様と言っても過言ではない。ミスター・シネマなのです。一体この映画をクリント・イーストウッドは何歳で作ったと思いますか?

なんと89歳です。

それも社会派で問題提起し、サスペンス要素もあり、実話をベースとした骨太な作品。その緊張感は一瞬たる緩むことなく二時間超の映画をグイグイと惹き付けるそNお力量。とても89歳のおじいちゃんが作った映画とは思えません。他のジャンルでもその年齢でパワフルな作品を作るアーティストはいるのでしょうか?

1996年アトランタの野外コンサート会場で爆破事件が発生。不審なバックパックを発見した警備員リチャード・ジュエル。彼の迅速な行動により多くの人名が救われ、一躍英雄となった。

しかし、それもつかの間、FBIが彼を逆に怪しいと睨んで、それを新聞記者にリークし、新聞は実名入りで英雄と報道したリチャード・ ジュエル を一転怪しい容疑者として報道する。彼には疑われるに充分な過去の素行があった。

しかし、実際は彼は犯人ではなかった。

家の回りにはメディア連中が始終囲み、テレビ、新聞が報道する。それはまさしくメディアにおけるレイプ、処刑に近いものであった。ただただ疑わしいと報道するため、後に容疑は晴れたとされたとはいえ、彼の人生はメディアによりメチャクチャにされたのだ。

この報道、メディアとは一体何か?を考えさせる骨太な映画。スクープとは?視聴率を求めるだけの競争とは?誤報道したメディアの責任とは?メディアの良心とは?そしてメディアの一つである映画とは?

いろいろ考えさせられるテーマでした。やはりこのようなテーマは精神の強靭さがないと取り組めないと思うし、そこにチャレンジする89歳のクリント・イーストウッドはもう超人的だと言っていい。

映画自体も傑作のできばえですが、何よりもクリント・イーストウッドの凄さに打ちのめされました。

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